[ 2012.03.20 : note]

花見川という川

うちのそばには川が流れていて、川沿いの遊歩道を散歩するのが日課になっています。

海もすぐ近くなので、夏は夕方になると、家の中まで潮のかおりが満ちてきて、幸せを感じますが、
私の好きなのは海とは反対の山側に向かって歩くコースです。(山はありませんが)

東京育ちの私には、川は柵で囲われ、ずいぶん下を細いのがちょろちょろ流れている生活と遠い存在でしたが、
花見川(山方面)は、広くて、目の高さと同じところを悠々と流れ、魚や鴨が泳いでいます。
土手には畑があり花が咲き、見通しもよく、空は広く、遊歩道の脇には桜やアジサイが植えられ、季節ごとにたくさんの花を咲かせます。こののどかな風景を歩いていると、どこか近くに旅行に来ているような感覚になります。(群馬あたり)

桜のつぼみがちゃんとついていることに安心したり、アジサイから新芽が出ていることに気づいたり、
いろんな鳥を見かけるので、『庭で楽しむ野鳥の本(原寸大)』という本と双眼鏡を買って、確認してみたり、いろんな発見があります。

遊歩道なので、たくさんの人がウォーキングやランニングをしたり、自転車で通勤通学してる人がいますが、速度も道のどっち側を通るかもそれぞれなので、歩きにくさを感じている人もいるようで、歩道沿いにある 『ゴルフしないで』などの看板の余白に、『人は右』と油性マジックで書かれているのを目にしました。
文字の達筆具合から想像すると年配の男性。(筆跡鑑定の経験はない)
そういえば私も左側を歩いていました。川を見ながら歩きたいので自然と道の左側になり、それがしっくりしていたから。
ほかのひともけっこう左側歩行のひとが多いようなので、やっぱり左側が歩きやすく、あんまり気にしていませんでしたが、
最近は、その『人は右』の文字はあらゆる看板や標識にどんどん増殖していき、達筆だった文字も殴り書きになっていき、そうとうキレてる様子が伺え、少し恐怖を感じるようになりました。
事件がおこらなければいいのですが。。。最近は右を歩いています。

ところで私は、歩きながらや、自転車に乗りながら、うたを歌っている人が好きです。
人とすれ違うときもボリュームを下げない人はもっと好きです。
あれは一人で気持ちよく歌っていたところに、向こうから人が来て今さらボリュームダウンすると、恥ずかしがってると思われるのがいやでそのまま歌っているのか、そもそも恥ずかしくさえもないのかが知りたいところですが、恥ずかしがりやの私には聞けません。
すれ違った後に、せいぜい歌が移ってるぐらいです。

先日は、人とすれ違うときにもボリュームを下げない安定感のあるおじさんと、下げないだろう朗らかなおばさんがすれ違う奇跡の瞬間に立ち会いました。
私ひとりではもったいないぐらいの貴重な体験で、その少し前から、くるぞくるぞと胸躍らせ、
その瞬間、生まれそうで生まれないハーモニー、どこまでも個人プレーの二人でしたが、とっても幸せな体験に笑顔が隠せませんでした。



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